カフェを廃業して負債を抱えないために 居抜き売買で少しでも"次"の資金を稼ぐ方法

「飲食業で生き残るのは厳しい」

 

こんな言葉を聞いたことがあるでしょう。

 

実際、総務省の18年度調査によれば、飲食業の5年以内廃業率は32.2%となっており、飲食店を開業した3人に1人は5年以内にお店をやめている計算になります。

 

飲食業の5年以内での廃業率 32.2%

出典:総務省 2006 「事業所・企業統計調査」

 

開業5年目の年末までの廃業率 23.2%

出典:日本政策金融公庫 2016 「新規開業に関するパネル調査」

 

こうしてみると、飲食店で廃業をするのはある意味では"普通のこと"と言えます。これは飲食業に限らずですが、こうして事業主としてやっていく以上、廃業した先のことを考えることはとても重要です。

 

つまりは、「どうやって撤退するか?」です。

 

撤退のときには、転職なり、また新たな店舗を小規模に開業しなおすなり、いずれにせよ"次の展開"のための資金がほしいもの。そこで、実際にカフェや喫茶店が撤退するとき、どのような手続きを踏むべきか、そしてその中でどう損失を減らすべきかについてご紹介します。

 

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損失を出さないために店舗を売る

カフェや喫茶店を撤退するとき、少しでも資金を生む方法は「店舗を売ること」です。

 

事業用物件は何もしなければ、内装はそのまま、もしくは原状復帰をして大家さんに返さなければいけないため、なんの手続きもせず普通に退去してしまうと、収支0どころかマイナスになることがあります。

 

ですので、「少しでも退去時の費用を抑えたい」、「撤退後の費用も稼ぎたい」と思うなら、店舗を売る手続きが必要になります。

 

法人の場合は面倒ですが、個人事業主として店舗を売る手続きは簡単

 

賃貸契約は、管理会社や大家さんに伝えて次の借り主にそのまま新規契約を結んでもらえばいいだけですし、その他の電気や電話回線・ガスなどの契約についても契約を移行するか、そのまま契約を停止すれば構いません。

 

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それでは、なにを売るのか?

 

名目上は権利譲渡ですが、実際に販売するのは内装・造作・備品になります。

 

内装・造作を売るためには、いくつかの方法があります。大ざっぱに分けると以下の3つのやり方です。

 

  1. 個人の知り合いを介して新規開業者を募る
  2. 居抜き専門業者に居抜きで造作譲渡することを告げる
  3. 内装は諦めて、備品や什器を中古業者に買い取ってもらう

 

一番損失が少なく出やすいのは、1番の「個人の知り合いを介して新規開業者を募る」です。やり方次第では、造作譲渡で利益を上げることだって可能でしょう(e.g., 自作したカウンターを正規商品価格になおして販売するなど)。

 

別に、「なにも知らないシロウトからぼったくれ!」と言っているわけではありません。単純に、同じ300万の価値を持つ商品であれば、仲介業者が少ないほうがマージンを取られずに、自分の取りぶんが増えるという話です。

 

また、業務用エスプレッソマシンなど専門性の高いマシンになると、中古買取業者がその価値を判断できない場合も多くなります。そうなると、異常なぐらい値段が安く買い取られてしまうことも。

 

それに比べて、個人間売買であれば、エスプレッソマシンなどの専門商品は中古市場にほぼ流れてこないので、欲しがっている人にはきちんとした値段で譲ることも可能なのです。

 

ただ、個人間でのやり取りはいろいろなデメリットも持っています。

 

・契約金を先払いしてもらわないと、支払がずるずる延びる可能性

・内装・造作の相場が分からないので、売り手・買い手どちらかが損をする可能性

・どこまでが大家の持ち物なのか分かっておらず販売しづらい

・そもそも、新規開業をしたい知り合いがいない

etc……

 

要は、売り手も買い手も物件の内装・造作の売買については素人なので、分からないことがたくさん出てきます。そしてなにより問題なのが、「そもそも新規開業をしたい知り合いがいない」場合。

 

けっこう多いのがこのパターンで、そのままズルズルと誰も譲り手が見つからず、内装費は取り戻せずに備品や什器だけ中古業者に販売して、損失を抱えて出て行ってしまうことになりかねません。

 

また、契約書の作成など面倒なことも多いので、よっぽど個人で上手く売りさばける自信がないのであれば、居抜き専門の業者に買い取り依頼を出したほうがよいでしょう。

 

居抜き専門の業者はどこで探すか?

まず、居抜き専門の業者ですが、ネットで「"居抜き" "売買"」などと調べてもらえれば、ある程度いろいろな業者が見つかると思います。

 

有名どころとしては「ぶけなび」などがありますが、相性もあるので、自分の気に入った仲介業者を選びましょう。

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注意点をあげるなら、ある程度の知名度のある業者でないと買い取り手が見つかりません。居抜きで売り渡すことができず、そのまま退去という散々な事態になりかねませんので、有名なサイトを使うか、買い取り手も一緒に募集している業者をおすすめします。

 

大家さんや管理会社にはいつ相談するか?

ちなみに、大家さんや管理会社にはいつ退去の相談をするかですが、基本的には、大家さんより居抜き業者にまず相談しましょう。

 

事業用物件は解約通知をしてから3か月まで家賃を支払わなければいけません。逆に言えば、解約通知をしてから3か月後には物件を出ていかなければいけません。

 

大家さんに先に相談してしまうと、物件の退去手続きに入らないといけないため、3か月以内に引き取り手を見つけられない場合、退去の期日が先に来てしまって内装・造作を売り渡せないことにもなります。

 

とはいえ、赤字続きの物件をいつまでも契約し続けるのも辛いので、多少前後するとはいえ、居抜き仲介業者に連絡したあとに、早めに大家さんに相談するとよいでしょう。

 

少しでも内装や造作を高く売るために

また、少しでも内装や造作を高く売るためのコツは、のちに入ってくる借り主のために、家賃や保証金を融通する交渉を大家さんや管理会社にしておくことです。

 

当然ですが、居ぬき物件で入居したいと考えている借主・事業者は資金がありません。ですので、保証金が少しでも下がるのであれば、内装や造作に少しぐらい上乗せして販売しても文句は言いません。

 

「大家さんが保証金を下げてくれるの?」と思われるかもしれませんが、条件次第で普通に保証金0で次の入居者に切り替えるという手続きもやってくれることがあります。大家さんだって、それで家賃収入が0になることのほうが痛いですからね。

 

ただし、その場合でも管理会社の仲介手数料だけは絶対に発生するのでご注意を。書類切り替え、事務手続きなどの作業が発生するため、そのぶんの費用は払う必要があります。

 

退去はお客様に必ずお知らせする

また、お店をいよいよ閉店することが決定したときですが、お客様、特に常連として来ていただいていた方にはきちんとお店を閉店することを連絡しましょう。

 

「お店を閉めることを伝えるなんて恥ずかしい…」

「もう会わない人にわざわざ伝えなくてもいいんじゃないか」

 

こう思う方もいるかもしれませんが、もし万が一、もう一度そのエリアで事業を行うことになったとき、閉店のあいさつがあるかないかでお客様の印象は段違いなので、たとえ辛くともきちんと連絡しておくべきです。

 

「あいつはあんなにお世話になったのにあいさつもしなかった」

 

こう言われては大変です。閉店のあいさつは礼儀でもありますが、感謝の気持ちとしてきちんと伝えておくことをおすすめします。