カフェの開業相談では、こんな相談内容が少なくないようです。
「カフェを開業する前にカフェや喫茶店でバイトをしたほうがいいですか?」
こういった質問をされる方は、たいていサラリーマンや工場勤めなど、異業種からの参入の方で、カフェでのアルバイト経験もまったくない方です。
結論から言えば、「その人の状況によります」。
でも、何も情報がなければ、自分の状況にカフェバイトがあっているのかどうか判断もし辛いでしょう。そこで今回は、カフェでアルバイトをすることで得られるメリット・デメリットについてご紹介いたします。
時間はかかるが、お金はもらえるカフェバイト
まず、「カフェを一切経験したことのない方」が、カフェ開業を目指してカフェでアルバイトをするメリットとデメリットをリストアップすると以下の通りです。
メリット
・お金をもらいながら勉強できる
・真似したいお店があるなら、そこで働くのは効果的
・接客業で緊張してしまう人には訓練になる
・カフェで実際に使われている道具を知ることができる
・仕入れ業者やメーカーを知ることができる
デメリット
・いろいろな技術に触れるのに時間がかかる
・必ずしも必要な知識を勉強できるとは限らない
・辞めたりするのに時間がかかる
・バイトに追われて開業の勉強ができなくなることも
・働いたカフェで使われている道具を自分も導入できるとは限らない
だいたいこんなところでしょうか。
カフェ開業の前にカフェでアルバイトの経験を積む上でのメリットは、実際に使われている道具や仕入れ業者を知ることができ、接客の練習ができること。そして何より、それらをお金をもらいながら勉強できることでしょう。
「お金をもらいながら勉強できるなんて、なんて素晴らしいんだろう!」と思われるかもしれません。ですが、一方で重要なデメリットもあります。
まず、カフェに入ったからといって、すべての作業に携われるわけではありませんし、きちんとした勉強ができるとも限りません。カフェと言っても様々なレベルのカフェがあるからです。
ほかにも、チェーン店でアルバイトをした場合は、システム面や設備面と、個人店のカフェとはさらに大きな違いを実感することでしょう。
たとえば、有名カフェチェーン店の大多数では、全自動のエスプレッソマシンを使っているため、個人店が導入するようなレベルの半自動のエスプレッソマシンの使い方などは全く分からず、初心者と変わらないといったことも普通にあり得ます。
↑タリーズのマシンの様子。個人店で導入するレベルではないマシン
逆に、あまりに小さな個人店でのアルバイトは、素人がインターネットで少し調べた程度のレシピで料理やドリンクを提供することもあり、まったく参考にならないといったこともあり得ます。
カフェのアルバイトに費やす時間もそうですが、カフェのアルバイト選びにも時間を費やす必要があり、開業のためにアルバイトをするのは「とにかく時間がかかる」というデメリットがあります。
1年以内のスピード開業を目指す方にはまず向かないでしょう。
「お金をもらいながら勉強できる」「自分の好きな店なら勉強になる」といったメリットはあるものの、カフェ開業のためにアルバイトをするというのは、だれにとっても最高の手段とは言えません。
お金に余裕があるなら、カフェ開業スクールやセミナーを
もしも、スキル習得や開業の手段を聞きたいのであれば、アルバイトをするより、セミナーやスクールに通うのが一番です。お金はもちろん必要ですが、お金をこちらから払うぶん、アルバイトより確実に短時間で必要な情報だけを勉強できます。
カフェの接客やそれに必要な道具などは、実際にたくさんのカフェに行って、そこで使われている道具を調べて、スクールやセミナーの講師に聞けば、きっとその性能や使い勝手まで含めて教えてくれると思います。
「スクールの提携先の業者や器具を紹介されるだけじゃないか?」「講師の偏った意見にならないか?」と思われるかもしれませんが、そんなものはどこかのカフェでアルバイトをしたとしても同じことです。
どこで勉強しても、どこか誰かの個人的意見は入ってきます。であれば、お金を払ったぶん、スクールやセミナーのほうが親身になって答えてくれるでしょう。
ただし、もちろんスクールやセミナーにはそれなりの費用が必要になります。誰にとっても最高の手段というわけではありません。
「お金に余裕があり、技術的なことが習得したいならスクールやセミナー」
「お金に余裕がなく、接客や運営など実務が習得したいならカフェバイト」
といった形で大ざっぱに分けて、自分の目的により近い手段を選択するといいかもしれません。もし、カフェで働きたいという方は、以下のようなサイトで、まずはカフェの面接対策をしてみるとよいでしょう。